関節疾患について
- 私たちの体には肩や肘、手首、足の付け根、膝、足首など、たくさんの関節があります。こうした関節には、骨と骨をつなぎながら体をスムーズに動かす重要な役割があります。そのため、関節に障害が起こると、関節を動かすときに痛みが生じ、日常生活に支障をきたします。
- 関節疾患は、老若男女だれでも起こりうるのですが、特に中高齢の方によく見られます。年を取るにつれて関節部の軟骨や骨が磨り減ったり変形したりし、痛みを伴うようになります。例えば足の関節に障害が及ぶと、歩く、しゃがむ、正座する、あぐらをかくといった基本的な動作が制限され、生活の質(QOL)は大きく下がってしまいます。
関節の様々な治療・ケアを行います
当院では、変形性膝関節症や変形性股関節症をはじめ、肩関節周囲炎、関節リウマチ、関節ねずみ、肉離れなど、関節部位に起こる様々な疾患の診断・治療を行っております。さらに、関節疾患が引き起こされないよう予防的な医療も積極的に取り入れています。関節やその周辺部位に痛みや異変を感じられたときは何でもご相談ください。
関節の主な疾患
- 肩・肘・手の関節
- 肩関節周囲炎(五十肩、四十肩) 反復性肩関節脱臼 上腕骨外側上顆炎 前骨間神経麻痺・後骨間神経麻痺 尺骨神経麻痺 肘部管症候群 手根管症候群 舟状骨骨折 など
- 股関節
- 変形性股関節症 発育性股関節形成不全 鼠径部痛症候群 骨盤骨折 など
- 膝・足の関節
- 変形性膝関節症 半月板損傷 膝靭帯損傷 膝離断性骨軟骨炎 オスグッド病 膝蓋骨脱臼 腓骨神経麻痺 膝関節捻挫 足関節捻挫 アキレス腱断裂 肉離れ など
- 全身の症状
- 関節リウマチ 偽痛風 関節内遊離体 骨折 脱臼 など
膝の痛みについて
膝の痛みをもたらす関節疾患として特に多いのが、変形性膝関節症です。膝関節のクッション役をしている軟骨が老化によりもろくなって磨り減り、そこに筋肉の衰えが加わることによって軟骨への負担が増し、痛みはさらに強くなります。
変形性膝関節症
- 変形性膝関節症は膝の軟骨が磨り減り、関節炎や変形が生じてくる疾患です。膝に痛みが生じ、水が溜まることもよく見られます。初期段階では立ち上がり、歩き始めなど動作の開始時に痛みが走るぐらいで、しばらく休めば痛みは消えます。しかし、だんだんと正座や階段の昇り降りが困難になり、末期になると、安静時にも痛みがとれなくなって、膝関節の変形も目立ってきます。このような状態になったときは手術が必要となります。
- 変形性膝関節症を引き起こす主な原因は関節軟骨の老化です。加齢に伴い体の様々な機能が衰えてきますが、ひざの関節も例外ではありません。肥満に気を付け、健康に留意することで老化のスピードを遅くすることは出来ますが、変形性膝関節症のリスクをゼロにすることは出来ないのです。また、骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として変形性膝関節症を併発することもあります。
変形性膝関節症の治療
- 変形性膝関節症の治療法は、保存療法と手術療法に大別できます。このうち保存療法では、痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などを打ったりして治療します。太ももや膝まわりの筋肉を鍛えて膝関節を支える力を強くすることも大切なので、運動療法も取り入れます。さらに、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法も併せて行います。
- こうした保存療法でも治らない場合は、手術療法を検討します。具体的には、膝の中に細い内視鏡を入れて骨棘を処理する「関節鏡手術」、骨を切って変形を矯正し、膝の内側にかかる負担を軽くする「高位脛骨骨切り術」、変形した部分を人工の部品で置き換える「人工膝関節置換術」などがありますので、患者さまとも相談のうえ、治療法を選択していきます。
変形性股関節症
変形性股関節症は、加齢や先天的原因などによって股関節の軟骨がすり減り、痛みなどが見られるようになる疾患です。膝ほどではありませんが、股関節に痛みや違和感を持つ方も非常に多くいらっしゃいます。変形性股関節症は、進行してしまうと歩行が困難になり、生活の質が著しく低下してしまいます。立ち上がるときや歩き始めのときに痛みが生じる方、長時間の正座が辛くなってきた方などは、お早めに関節外来をご受診ください。
変形性股関節症の治療
- 変形性股関節症の治療も、変形性膝関節症と同じように運動療法と薬物療法、手術療法を検討します。このうち運動療法は、股関節の周囲を中心とした筋力を付けることによって、股関節の変形を食い止める治療法です。これにより、痛みを緩和する効果も期待できます。但し、不適切な運動を行うと疼痛を誘発してしまうことがありますので、必ず専門医の指導のもとで行うようにしましょう。
- 薬物療法は、痛みを和らげる効果が期待できますので、一般的に広く行われています。長期的な症状の改善には運動療法が有効なのですが、実際に痛みが発現している場合は薬物療法がメインとなります。痛みを取り除くため、非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンなどの内服薬が主に用いられます。
- 運動療法や薬物療法で症状の改善が見られないときは手術療法を行います。初期の段階ならば自身の骨を活用する骨切術、関節の変形が進んでいる段階ならば人工股関節手術が主に選択されます。